若岡拓也の日本列島大縦走

若岡拓也の日本列島大縦走 #13
2023.10.12 若岡拓也

若岡拓也の日本列島大縦走 #13

PAAGO MAGAZINEでは、日本列島大縦走中の若岡さんの走破記録を週ごとにレポしていきます。今週はしまなみ海道を通り、四国へ。みなさんもどこかで若岡さんに会ったら、ぜひ写真を撮ってパーゴワークスまで送ってください!どんどん紹介していきたいと思います。

日本列島大縦走の詳細については、こちらをご覧ください!

今週の記録

10/4 82日目 79.5km

目覚めると体が重かった。前日は82.8km、獲得標高2,800mと重たい1日だった。この日も新見から尾道まで80km前後を走る。翌月に出場するヨルダンの砂漠レースに向け、連日追い込むトレーニングにちょうどいい。ただ、全然進まない。細かく距離を刻む。10km、15kmと小さな目標を立てて、こなしていく。そのうち、いろんなことがどうでもよくなり、走ることに集中できるようになった。尾道でソックスなどを提供してもらっているインナーファクトの首藤さん宅で宿泊。長い2日間だった。

10/5 83日目 26.1km

尾道の山間部を少しだけ進む。首藤さんに頼まれて、自分でつなげたトレイルコースをたどる。思いのほか、つらかった。なぜ、もっと簡単な道にしないのだ。里山のせいか、蜘蛛の巣が多く、払ってもキリがない。面倒くさくなってすべて顔面で受け止め、そのままにしておく。いろんなことがどうでもよくなっていく。

前日までのハードワークもあり、体が動かない。半日かけて30kmも進めなかったが、よしとする。翌日から3日間にわたり仕事で拘束されるため、わずかでも動いておきたかったのだ。尾道駅前で打ち止めだ。

10/6 84日目 0km

仕事のために洞爺湖(北海道)まで移動。バスや飛行機に乗ったら気持ち悪かった。体が弱っているのだろう。久しぶりに襟付きのシャツ、丈の長いパンツを身につけた。バチバチに違和感を覚えてしまうが!うまく周囲に溶け込めているのだろうか。

10/7 85日目 0km

砂漠のランニングレース250kmを走るための合宿で、講師を務める。洞爺湖南岸の里山を走り、やたらと体が重かった。有珠山は標高が低いながらも登りごたえあり、山頂部の眺望よし。山を走って、筋トレもして、実は疲れた。

10/8 86日目 0km

洞爺湖から尾道へと移動。午前7時半に出発して車、電車、飛行機、バス、電車と乗り継いで12時間後に到着。何もしてないが、体は重い。翌日からまた走れるのだろうか。

10/9 87日目 88.0km

曇りと小雨の1日。ザックやシャツが湿って乾かない。忌々しい湿度だが、その反面、気温が上がらず走りやすい。友人の尾崎くん、みなみさんが自転車で並走。しまなみ海道を淡々と行く。夕暮れ時には来島大橋で太陽が垣間見え、瀬戸内海がドラマチックな変化を見せていた。今治の造船所に萌え、そこから西条まで30km。この旅の最長距離を更新した。

10/10 88日目 68.6km

石鎚山は強風だった。麓から見ていても雲の流れが早い。予報では山頂部の気温は7℃。そろそろ短パンには厳しい季節になってきた。西之川登山口は見事に苔むした石垣がハイライト。成就ルートに出てからはガスガス。鎖場は迂回した。濡れた鎖をつかむと、金属アレルギーで指の皮がボロボロになるから。難儀だ。

山頂は真っ白、そこから西に抜ける縦走路も。やや笹藪があり、脚が濡れて冷たい。後半は宇和島の廣瀬さん、結田さんが並走。保井野登山口に下りて、ロード30kmを行く。いくつか集落を通るが、まったく電波がない。秘境感がすごい。

今週のつぶやき

「えっ、短パン?」

石鎚山の山頂近くですれ違った女性が戸惑っていた。すれ違いざまに面と向かって疑問を口にしてしまうのだから、よほどの衝撃だったのだろう。相当に困惑したか、驚いたのか。

僕にとっても衝撃であった。そんなに寒くないから許容範囲だと思っていたが、そうでもないらしい。夏はもう過ぎたのだ。薄々は気づきながらも、見て見ぬふりをしてきた事実に直面させられた瞬間であった。

出会いと呼ぶには短すぎる刹那の巡り合い。山でのすれ違いは面白い。今回に限らず、いろんな声をかけられてきた。

定番なのは「元気だねえ」「若いね」。だいたいが大ベテランで、大きなザックを背負っている人たちだ。先輩方の方が若々しい。

尾道の山間部にて。蜘蛛の巣がいっぱいだった。

「脚の筋肉がスゴい」

「いい脚してますね」

など、脚ばかりを褒められる。さすがに3カ月もすれば、ぜい肉がない。どころか、筋肉量も落ちている。

「ししゃも!」。これはふくらはぎを後ろから見て。子持ちししゃものように、みっちりしているのだそう。

こんにちは、とあいさつして通り過ぎた後で「プロ?」「プロだね」という会話が聞こえてきたことも。何のプロだと思われたのか。いまだに分からない。