若岡拓也の日本列島大縦走

若岡拓也の日本列島大縦走 #4
2023.08.11 若岡拓也

若岡拓也の日本列島大縦走 #4

PAAGO MAGAZINEでは、日本列島大縦走中の若岡さんの走破記録を週ごとにレポしていきます。スタートから半月、もう北海道パートを走り切りました! 毎週彼の記録を地図で確認しなら、そのグレートでクレイジーな走力に圧倒されます。今週から本州へ。 青森を通過し、魅惑の温泉トレイル(裏岩手縦走路)を走り抜けた様子をご覧ください。みなさんもどこかで若岡さんに会ったら、ぜひ写真を撮ってパーゴワークスまで送ってください! どんどん紹介していきたいと思います。

日本列島大縦走の詳細については、こちらをご覧ください!

今週の記録

8/2 19日目 14.62km

朝のフェリーを見送り、夜中に本州へ渡ることに。青森市内から岩木山までが遠く、1日で行くには早朝に到着して走り出した方がよさそうと判断。青森はねぶたで宿が取れなさそう。この日の昼間は函館山へ。北海道最後の山だ。20年前の年末に登って以来で、夏山だと色彩が豊かで違った表情だった。その当時、函館山のふもとに、大学の同期の実家があり、泊めてもらったことを思い出し、名前を検索。現在は近くでパン屋「TOMBOLO」を営んでいた。薪窯で焼き上げる北海道産小麦にこだわったパン。薪は里山で拾ってきて、自分で割っているというこだわりようだ。

8/3 20日目 66.39km

下船後、フェリー乗り場で仮眠。フルマラソンくらいの距離を走って岩木山へ。海抜0mから一気に山頂へ。道中では、リンゴ畑がいたる所にある。リンゴ好きにはたまらない景色に歓喜。青々とした田んぼも。リンゴ畑、稲穂の奥に控える岩木山が大地の恵みをもたらす象徴に思えた。登山道はマイナールートのようで、山頂近くで藪に阻まれる。水場がなく消耗する。下りはメインルート。勢いよく流れる沢があり、この水が平野部に注いで、豊かな実りとなっているのだと想像した。下山した先にある岩木山神社が厳かで感動。大樹、楼門、本殿、参道。すべていい。岩木山はやはりシンボルなのだ。

8/4 21日目 42.41km

前夜から休憩させていただいたバー「INTERVAL」で朝はのんびり支度を済ませる。マスターのボストンマラソン参戦録、初めてのトレイルランニングなど、話が面白く、夜ふかしした反動だ。朝ラーメン後、東北最古の喫茶店「万茶ン」でコーヒーを飲み、観光気分を満喫。八甲田山へとロードを走る。ハイライトは弘前観光だった。酸ヶ湯キャンプ場で一夜を明かす。

8/5 22日目 50.06km

八甲田山を縦走。ガスで展望がないと思っていたが、晴れ間がのぞき、景色を堪能。田茂萢岳、赤倉岳、井戸岳、大岳、小岳、高田大岳とつなぎ、谷地温泉へ。久しぶりに縦走らしい縦走ができた。奥入瀬のトレイルを走り、渓流で遊びながら南下。十和田湖の透明度に驚かされる。宿に泊まるも、過去3日よりも寝られず。

8/6 23日目 77km

次の山域までひたすらロードを走る。この日は山の温泉宿でしっかり布団で寝るのだと決心していた。18時のチェックインになんとしても間に合わせる。4日ぶりの布団という固い決意で走る。最初の難所・発荷峠は並走していただき、なんなくクリア。その後は気温34℃、ゲリラ豪雨と雷に見舞われながら、なんとか玉川温泉に到着。強酸性の温泉は実に刺激的。源泉100%の湯船につかると、藪漕ぎでわずかにできた傷口が猛烈に痛い。飲むと、クエン酸を口に入れた時のように酸っぱい。火山活動の神秘を感じる。

8/7 24日目 26.17km

宿で朝食をたらふく食べてしまい体が重い。焼山の避難小屋で山仲間の20代女性と合流。その後も秋田のゆきえさん、岩手のよねさんが加わり、しばらく一緒に山行。朝食の食べ過ぎでスタートが遅れ、一緒に山歩きする時間が減ったことが悔やまれる。大深岳近くの避難小屋で停滞。雪深い山域だけあった、小屋の造りがしっかりしている。屋内は暑いほどだった。この日も夕暮れ時に天気が崩れ、雷雨に。

8/8 25日目 38.96km

夕立と雷が続いたことで、ゲリラ豪雨を警戒。風が強く、ガスで視界が悪く、雲の動きが分かりにくい。大事をとって岩手山への周回をやめ、秋田駒ヶ岳へと急ぐ。稜線で雷に遭うのは避けたい。短縮したことで日暮前には下山できる。予想に反して晴れ間も広がり、稜線から田沢湖まで一望できた。絶景にいつものように立ち尽くす。

今週のつぶやき

温泉縦走

裏岩手縦走路はいつ来ても楽しい。今回のルートは玉川温泉を起点に焼山を経て、八幡平から稜線歩きを始める。

この稜線からの景色が気持ちいい。ゆるやかな勾配が続き、息が切れることもない。背の低い森は青空をさらに高く見せてくれる。いつまでも辿っていたい空の道だ。霧につつまれても神秘的な風情が生まれる。 山歩きだけでも堪能できるのだが、このエリアの魅力といえば、温泉も挙げられる。降って湧いた話ではなく、文字通り湧いているのだ。 この日出発した玉川温泉はインパクト抜群。比類のない強酸性の温泉だ。唯一無二の温泉に心が震える。痛みで震えている感は拭えない。

ただ、藪こぎや股ずれ、その他すり傷があると、驚くほどしみる。心に染みるとか、そんな情緒的な要素はなく、悶絶せんばかりに傷口がしみる。 レモンを傷にゴシゴシ押し当てたら、こんな感じなのではないかという痛み。口に含めば、濃縮したレモンのごとき強烈な味わい。歯が溶けると注意書きがあるのも頷ける。 日焼けしすぎてボロボロになった肌が早く生まれ変わればいいのに、と入り続けた。

玉川温泉から、ひと山越えると、また温泉だ。後生掛温泉、ふけの湯と続く。 時間と財布に余裕があれば、ここで一泊して温泉に浸かりたい。そして八幡平まで登る。すぐに藤七温泉が待っている。その先にも、ことあるごとに温泉がやって来る。 そう、温泉、山、温泉。。。という温泉縦走のできあがりだ。楽しい稜線歩きと幸せの源泉。控えめに言って最高である。