おかげさまでRUSHは今年で10周年を迎えます。
2015年に誕生して以来、RUSHは多くの出会いを私達に与えてくれました。そして皆さんの声を聞いてプロダクトとして成長してきました。これまで支えてくれたユーザーの皆さんに大きな声で「ありがとう!」を伝えたいと思います。
この先も"Designed by the Runners"を掛け声に、日本のトレイルランニングとともに成長していきますので、ぜひとも応援してくださいね!
10周年を記念してRUSHの製品年表を作りましたのでご覧ください。

今の日本のトレランシーンは2009年にNHKで放映された『激走!モンブラン』をきっかけに一般への認知が広がり、ランニングブームも追い風となって競技人口が急増。2012年のUTMF初開催により100マイルレースへの関心も広がりました。全国各地でレースやイベントが開催され、競技面の発展だけでなく独自のカルチャーやファッションも芽生えました。そんな2015年に「日本人に必要なトレランパックはなにか?」を追求して生まれたのがRUSHシリーズなのです。なかでも象徴的なモデルを3つご紹介しましょう。
-
RUSH 7 (2015)
エントリー層に向けたデザインを追求した初代RUSH。「ストレスフリー」をコンセプトに、複雑になりがちな機能をできるだけ合理化し、誰でもイージーに使えるようストレッチ性の高いライクラ生地を使用。そのシンプルなデザインが受け入れられて、初心者のみならずベテランにも支持が高く、10年経った今でも愛用者がいるほどの人気者です。
-
RUSH 28 (2016)
「走って泊まる」をコンセプトに開発したファストパッキングモデル。U.L.装備を前提とした本体容量や大型のショルダーポケット、独創的なトップスタビライザーなど、当時としては異端児的なバックパックしたが、その意欲的なデザインと背負心地の良さもあって多くのランナーやハイカーが冒険的チャレンジに使用してくれました。
-
RUSH UT (2018)
「世界の表彰台にRUSHを立たせたい!」そんな野望から生まれた100マイル専用のレーシングベストです。長時間でも疲れない「高重心フォルム」を生み出し、背負心地と使い勝手をとことん研究。100マイラーの意見を取り入れながら3世代までバージョンアップを重ねた伝説的なモデルです。この設計思想は今のRUSHにも強く受け継がれています。
RUSHは多くのユーザーに支えられ、また彼らの挑戦を影で支えてきました。この10年、彼らはどんな景色を駆け抜けてきたのでしょうか。世界を走るランナーたちから届いたリアルなストーリーをご紹介します!
-
矢田 夕子
RUSHを背負って9年。
どのレースもどのトレーニングもともにしてきました。色んな思い出はありますが、とくに印象的なのはRUSH UTを背負って走ったTrans Lantauです。UTが出来上がって初めに走ったレースでした。
それまではザックをおろすのが面倒で、前面のポケットのみでやりくりしていたのですが、ザックの上部にポケットがついたことで、ヘッドランプなどの大きいものがしっかりと収納できて、快適に走れたのを覚えています。
レースは気持ち悪さで失速したものの、2位でゴール!海外レースで1番良い成績で走れました。続きを読む -
牧野高大
2016年の伊豆トレイルジャーニーで始めてRUSHを使用しました。当時のRUSH7は背面にセンタージップがあり、画期的な構造でした。機能的でありつつも、どこかユーザーに使い方を委ねる拡張性のあるデザイン。更にマイナーチェンジで、より使いやすくなりました。
特にUTは機能性、デザイン性が高く衝撃的でした。運良く抽選に当たり、UTMFを始め多くの大会で使用しました。他にもSHIGA1ではUT3、TJARではRUSH415を使用し、大きな力となりました。
振り返ると自分の挑戦はRUSHと共に走り回った記憶があります。そんなRUSHとこれからも共に挑戦し続けていきたいと思います。続きを読む -
若岡 拓也
砂漠のレースで使うザックを探していた時に出合ったのがRUSH 28だった。1週間分の食料やギアを入れても安定して走ることができ、軽量化も図れるザックを探していた。福岡のSKY TRAILで相談したところ、RUSHを手にとることに。今ほどULハイクは浸透していなかった2016年のことだ。背負って店内を走ってみると、初めてなのに妙にしっくりきた。
直後にアフリカのナミブ砂漠を走るレースが控えていた。ぶっつけ本番は嫌いなのだが、この時は直感を信じて、使うことにした。
砂漠の不整地で、前を行くランナーは背中のザックが左右に暴れていた。そして、僕は揺れていない。体力を削られずに済んでいる。そう思えると、キツい局面でも走りきることができた。入賞は逃したものの、結果は4位。すこしだけ自信が持てるようになった。その後、1つずつ順位を上げていくのだけれど、それはこの時に得た自信のおかげだ。続きを読む -
Alex Ioli
2024年のTor des Géants 330は、これまでで最も過酷なレースでした。2022年のタイムである125時間を更新することを目標にスタートしましたが、残念ながら開始直後から100kmまで大雨が降り続くという最悪のコンディションでした。雨のせいで足の裏が擦れ、水ぶくれができ、それが右足首の腱炎に繋がりました。腱炎を抱えたままなんとかその後100km進み、最終的にニエル(Niel)で右足が完全に動かなくなり、リタイアを決断しました。
220km、累積標高12000m+、60時間、睡眠時間はわずか1時間30分でレースを終えました。
このレースはギアのテストという意味では最高のシチュエーションでした。RUSH11Rは、フィッティングがよく過酷な状況でもしっかりと身体に固定され、ポケットの収納も必要なギアに素早くアクセスできました。続きを読む -
山内 菜摘
私の思い出に残るレースは、パーゴチームと一緒に参加したDoiInthanon Thailand By UTMBのpagota 55kmです。12月のタイは30度越え、日本から暑熱順化のできていない身体で挑みました。序盤は、快適に走っていました。ラッシュはレース中でもサイズ調整ができるので、下りはフィットさせ、上りは緩めて走りました。35km過ぎから経験したことのない足攣りでコースにうずくまりました。動けない、、外国人ランナーさんたちが心配して、声をかけて通り抜けていきます。数分後、なんとか立ち上がり、動きだし、無事にフィニッシュ!攣っていても走れば動ける!と学びを得たレースでした。結果は女子総合10位、UTMB本戦出走権獲得のお土産つきでした。まだまだ、ラッシュとの挑戦は続くのです!!
続きを読む -
山田 琢也
私のトレイルランニング人生の原点は、2007年のMadarao Forest Trailでした。50kmという未知の距離、そして地元の森でさえ知らなかったトレイルを走るという冒険に、胸をときめかせながら準備をしたことを今でも鮮明に覚えています。当時使用していたバックパックは、トレラン専用ではなく子供用の小さなもの。補給やギアを取り出すたびにカバンを下ろし、チャックを開けるという手間がありました。その後、トレイルランニングにのめり込み、今では地元のロングトレイルや里山を紹介することが私のライフワークとなりました。RUSHシリーズとの出会いは、そんな私の挑戦を大きく支えてくれました。抜群のフィット感と機能性が、どんなトレイルでも私の背中を支えてくれる。これからもRUSHと共に、国内外の山々を駆け抜け、多くの人にトレイルの魅力を伝えていきたいと思います。
続きを読む
"Designed by the Runners" の通り、RUSHはランナーの皆さんの声によって作られました。では実際にどんな風に開発をしているのでしょうか。デザイナーでありブランド代表の斎藤の言葉とともにご紹介しましょう。
-
私はトレランほど爽快な遊びはないと思っていますが、客観的に見れば相当に辛いスポーツではないでしょうか。距離も高低差も時間も負荷も高く、なおかつ天候や地形などの環境的要素と自身の体力や体調、精神などの内的要素も絡み合う難しさがあります。ここまでページを読んだあなたは「だから面白いんじゃん!」と思うでしょうが、私も同じく「だからデザインしたいんだよ!」と叫びたいです。プロダクトデザイナーはテーマが難しければ難しいほど燃えるんです。私もあなたも変わり者ですね。
-
結論からいえば、理想のバックパックとは「ストレスが無い」ということです。肩が痛いとか首が擦れるといった「身体的ストレス」がなく、使いにくいとか、すぐ壊れるといった「精神的ストレス」を極力減らすのがRUSHのデザインコンセプトであり私の使命なのであります。
...というとスマートに聞こえますが、開発現場は本当にスマートじゃありません。もし自分が社長じゃなければ間違いなくクビになるほど時間をかけて、多くのプロトタイプを作ります。3代目RUSHの開発では150種類も試作品を作り、テストを行いました。(詳しくは開発秘話で) -
そんなデザイン開発の現場で、もっとも頼れる存在はユーザーの声です。この10年間、多くのレースやイベントでみんなの声に元気とヒントを頂き、デザインに反映してきました。そして常にみんなの想像の上をいくデザインを目指してきました。結果的に自分達が使いたいもの以上のRUSHを生み出してこれたと思います。(なんと30種類も!)
決してスマートじゃないけれど、これこそがパーゴワークスが理想とする開発スタイルであり、"Designed by the Runners"という言葉に込めた想いなのです。これからも良いプロダクトをデザインして、フィールドでみんなとお会いすることを楽しみにしています。
いかがでしたか? RUSHはただのトレランパックですが、この10年の間に実に多くのストーリーがありました。少しでも共感してもらえて 「山を走りたい!」と思ってもらえたら嬉しいです。
そしてこれからもRUSHは皆さんの声をお待ちしています。よければ開発アンケートにもご協力ください。ここまで読んでいただき本当にありがとうございました!