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Navi and Camp 2025レポート
第3回 PAAGO Navi and Camp
僕とナビキャン
「クノール、来年のナビキャン頼んだよ。」
先輩のゆりさんからの一言で僕の人生は動き始めました。「え!?ちょっとなに言ってるか分からないんですけど...」アルバイトから正社員になって初めての大役に戸惑いつつも、精一杯頑張る決心をしました。というのも僕がパーゴに入ったきっかけはこのNavi and Campだったから。「こんなに楽しいイベントをやるブランドなら」と会社のドアを叩いたのでした。こんな僕がナビキャンをうまくできるのか?不安と苦労の半年でしたが...まずはイベントの様子からレポートしましょう!!
「本気で遊び、本気で学ぶ2日間」
PAAGO Navi and Campは、ナビゲーションスポーツとキャンプを通じてアウトドアの楽しさを体感できるパーゴワークスのファンイベント。2人1組のチームで参加し、ナビゲーションスキルを測るゲーム2種類(オリエンテーリングとロゲイニング)とキャンプスキルを測るゲーム2種類(焚き火とパッキング)の両方で、アウトドアの総合力を競い合います!

ナビキャン最大のテーマは「本気で遊び、本気で学ぶ2日間」。参加者がアウトドアの技術を学び、それを活かして競技で実践。帰った後でもそれぞれのアクティビティをより深く楽しめるようになることを目標にしていました。今回は特に学びの要素を過去大会からパワーアップさせるため、開催プログラムを一新しています。
まず、ロゲイニングとオリエンテーリングの順番を入れ替え。基礎的な地図読みスキルを使うオリエンテーリングをロゲイニングよりも前に行うことで、段階的に地図読みの実践に挑めるよう工夫しました。
次に、「パーゴ塾」。自由参加・選択型のミニ講習やワークショップを複数同時多発的に行うことで、学びの種類にバリエーションを持たせました。「学び」を通じて、心ゆくまで本気の「遊び」を楽しんでもらえるよう、心を込めて工夫を凝らしました。
いよいよ始まる。Navi and Camp 2025

当日の朝は雨予報ながら晴れ間も見えるさわやかぶり。八ヶ岳高原のすっきりと乾いた空気の中で参加者たちを待ちながら、胸の高鳴りを抑えきれずにいました。今年はどんな参加者に会えるんだろう。今年はどんな大会になるんだろう。いつだってナビキャンは「何かがある」と思わせる特別な予感に満ちているのです。
教えてオリエンの遊び方!

プログラムの最初はオリエンテーリング講習です。
「そもそもオリエンテーリングって何??」
「コンパスってたくさん線がついてるけど、どうやって使うの??」
初めての人でもナビキャンを楽しめるよう、ナビゲーションの基礎を学ぶことができる講習です。資料をみながら基本的な地図とコンパスの使い方を学んだら、実際に森へ入りミニコースを回ります。初めは不安げな表情の参加者も、講習が終わる頃には「もっとやりたい!」と言わんばかりの顔つきに。僕はそんな順調な滑り出しを見ながら裏で1人安堵していました。


いざ、森へ!
講習を終えたら、いよいよ競技が始まります!最初の競技はスコア形式のオリエンテーリング。地図上に示されたポイントを自由な順番で周り、制限時間内に最も多くのポイントを稼いだチームが勝者となります。

今回の大会では、例年に比べて狭いマップ範囲に多くのポイントを設置しました。マップを作ったのはトータス上島さん。ロゲイニングマップとの差を明確にして、たくさんポイントを取れる喜びを感じてほしいと話していました。プランの選択肢も多く、トップチームでも全クリアがギリギリと戦略性の高い地図の仕上がりになりました。

競技直前に配られた地図をみながらの作戦会議。楽しそうにプランを立てている様子がマップの完成度を物語っていました。



制限時間は2時間半。スタートの合図とともに参加者は森の中へ。雨で潤う八ヶ岳の森林を満喫してもらいました。


制限時間は例年よりも短めに設定したので、ゴールゲート前ではほとんどのチームがラストスパートの本気ダッシュ。降り続く雨の中でもお構いなし!ずぶ濡れになりながら2時間半の競技を楽しんで、弾けるような笑顔がまぶしいシーンでした。

初の試み、パーゴ塾
オリエンテーリングのコースクローズの後、会場の3箇所で2つずつ、計6つのテーマでミニ講習やワークショップを展開。参加者はそれぞれ学びたい内容を選ぶことができます。各テーマのエキスパートを講師に迎え、どの講習も実践的で充実した内容になりました。

①パッキング講習(パーゴワークス斎藤)
こちらは毎年行っているパッキングに関する講習。荷物を詰め込み、一日中山で遊ぶには適切なパッキングが欠かせません。今年もパーゴ代表の斎藤が直々に講習を行いました。

②クッキング講習(A-sukeさん)
Barの出店を行っているA-sukeさん。水道橋でアウトドアをコンセプトにしたカフェ、BASE CAMPを経営しており、その腕はまさに一級品!山遊びで役に立つご飯のコツを教えてもらいました。
A-sukeコメント
「今回初めてクッキング講習をやるとなって一体なにをやれば喜んでもらえるんだ!?とかなり頭を悩ませました。結局はLight&FastそしてEasyということで乾燥食材の紹介や余ったコンビニおにぎりの活用などを軸に誰でも真似できる内容を提供できたかと思います。ぼく自身も勉強になりました!ありがとうございました。」

③ファーストエイド講習(パーゴワークス相田)
パーゴスタッフ相田の前職は消防士。どんな時でも冷静で頼りになる、我らがアニキによる講習です。ファーストエイドキットに入っているものの使い方がイマイチわからない。そんな悩みやそもそも何を持っておくのか、緊急時に使える物の使い方や考え方を教えてくれました!
相田コメント
「皆さんと一緒に学ぶ中で、私自身も多くの気づきを得ました。予想を上回る参加者数に驚くと同時に、アウトドアでの安全意識の高さを強く感じました。事故を防ぐためには計画的な行動が大前提ですが、万が一に備えてファーストエイドの知識とキットを持ち、安心・安全に自然を楽しみましょう!参加いただき、ありがとうございました!」

④焚き火講習(パーゴワークス斎藤)
野山を駆け回って、1日の終わりには焚き火を起こして英気を養う。そんなロマンに憧れる方も少なくないはず。この講習ではファイアースターターを使った火の起こし方やこの後の競技の効率的な進め方を学びます。

⑤テント泊講習(レジャーズ桜井さん)
安曇野のアウトドアショップ「LEISURES」の店主・桜井さん。彼は誰もが認めるギアマスター。テント泊に役立つギアや、それらの特徴を教えてくれました。
桜井コメント
「テントと言っても種類は様々。特徴も様々。たくさんの選択肢もあってどれが良いか選ぶことが難しいですが、そんなときは行きつけのお店に相談してみてください。テント泊ができれば行動範囲も広がり、もっと山を楽しめますよ!」

⑥地図読み講習(トータス国沢さん・山岸さん)
Navi and Campのオリエンテーリングとロゲイニングのコースディレクションから運営を管理するトータス。多くのエリートオリエンティアが所属しており、今回の地図読み講習を担当してもらいました。オリエンテーリングのマップの復習をベースに、普段の山遊びにも使える知識を教えてくれました。
山岸コメント
「ナビキャンでの地図読み体験、いかがでしたか?皆さんがキラキラした目で読図を楽しんでくれて、嬉しかったです!地図読みは、山遊びをより楽しく安全にしてくれます。今後は是非、地図を片手にフィールドへ繰り出してみてください。オリエンテーリング大会でもお待ちしてますよ!」
全力で火遊び!

パーゴ塾が終わり、日が傾きかけた頃に始まるのが第2競技のチャッカアンドゴー。TRAILPOT S1200PとNINJA FIRESTAND soloを使って、500mlの水を沸かすタイムを競います!
参加者・スタッフの全員が焚き火サークルに集まって、全力で火遊びするこの競技は、イベント期間中で最大級の盛り上がりになります。

昨年から測定員を増やし、水温計測の時間を短くできるように設定、会場のクーリングタイムも設けることで予期しないトラブルにも柔軟に対応できるように設計しました。競技結果はというと、Bib No.52 スノコ&サダコが最速7分48秒をマーク。平均タイムが約14分なのを考えると驚くべきスピードです。早すぎ!



競技が終わればディナータイム。焚き火を使った美味しそうな料理を楽しんでいる様子があちこちでみられました。
酒と焚き火のChillな夜

キャンプファイヤーに火が入り、夜も更けてきた頃に始まるのがトークショー。代表の斎藤による、開発秘話が人気のコーナーです。今年のテーマはなんといってもZENNシリーズ!プロダクト開発の裏に込められたブランドの精神や開発者としての想いを語り尽くしました。

日本人ならラジオ体操!

2日目の朝は昨日の雨が嘘だったかのような快晴。陽ざしが眩しいながらも暑すぎない、絶好のアウトドア日和でした。
スタッフの朝礼を終え、プログラムを始めようというまさにその時のことです。
「ラジオ体操やろっか。」
どこからともなく聞こえてきた声と、あらかじめ用意されていたかのようなタイミングで流れ出した、あのBGM。慌ててスペースをとって運動を始めると、周りには参加者も集まってきました。音楽が流れ出しただけで何の告知がなくても一連の体操を始められる参加者・スタッフの一体感に驚きが隠せませんでした。


みんな朝から元気!(笑)
世界でここだけ。パッキング競争。

ラジオ体操ですっかり目が覚め、体が温まったところで第3競技のパックアンドゴー。テントの撤収から全ての荷物をバックパックに収納するまでの時間を競う、ユニークな競技です。


参加者は合図とともにスタートラインから一斉に自分のテントに走って戻ります。到着したらテントや装備の撤収作業。終了したチームから次の競技へ。いかに早く、美しくパッキングができるかが順位とその後の競技の優位性を向上させる鍵となるポイント。そんな中でもスピード優先でとりあえずバックパックに荷物を放り込むチームや、のちの競技のことを考えて普段よりも丁寧にパッキングを進めるチームなど戦略は様々でした。
しかし忘れ物にだけは要注意!この競技のポイントがつかなくなってしまいます。と、再三のアナウンスにもかかわらず大きな忘れ物が(笑)

テント忘れるか!営業部長も渋い表情。NINJA TENTを落としたチームがどうなったかはこの後のお楽しみです。
西川コメント
「Leave no traceと言われて久しい昨今、まさかテントが、しかもパーゴのベストセラーでもあるニンジャテントが青々とした芝生に、キチンと収納された状態で置かれている光景にとてもびっくりしました!パッキングの早さだけでなく、バディとの声掛けや落ち着いて最後に確認することなど、ナビキャンで重要なアウトドア力の総合性を実感させられたシーンでした。」
ロゲイニングでもっと遠くへ!

イベント最後の競技にして2度目のナビゲーション競技、ロゲイニング。オリエンテーリングとの違いはなんといってもそのマップ範囲の広さです。ポイントの全てが林の中に配置されていますが、近くには美味しいパン屋さんやカフェなど、嬉しいプチご褒美スポットがあります。森林と街がグラデーションになっている富士見高原エリアの魅力が詰まったマップになりました。

作戦タイムを終えた参加者たちは再びフィールドに散っていきます。
走りはじめるチームや談笑しながら歩いてスタートするチームなど、スタイルは様々でした。そんな参加者たちが同じ遊びを共有できるのもナビキャンの魅力。僕がナビキャンを好きな理由の一つです。「いってらっしゃい!」と笑顔でみんなを送り出しました。




全ての競技を終え、ゴールに向かう参加者たち。それぞれ「やり切った」「もうちょい行けた」思うところはあっても、2日間の競技を終えた達成感からくる笑顔が眩しいシーンでした。




景品は誰の手に!?

2日間の締めくくりは表彰式!2日間を全力で遊び、学んだチームを紹介します。

1位/Bib No.26 ペロ作
パックアンドゴーで2位につけ、2日目のポイントを大きく稼ぎました。賞品は未発売(6月下旬発売予定)のZENN SHELTER!

2位/Bib No.2 未知の足跡
なんとこちらは大学生チーム!2日間をフルパワーマックスで学び、遊びきりました!

3位/Bib No.28 ARUPAKA
夫婦で参加のチームARUPAKA。全ての競技でバランスよくポイントを稼いで見事表彰台入り!

ちなみに、NINJA TENTを落としたチームはなんと社長賞!テントよりコンパクトなタープとネストのセットをプレゼントしました。社長からは、こっちなら落とさないよねとの優しい圧がかかります(笑)
僕とナビキャン
無事全てのプログラムを終え、改めてプロジェクト全体を振り返ると、期間中は僕にとって困難の連続でした。
初めてのプロジェクトリーダー、プログラム・会場レイアウトの刷新、昨年の反省をベースにした雨天時対応のシミュレーション......山積みの課題を前に半年間悩み抜きました。数えきれないほどのミーティングを重ね、トータスに依頼していた競技用マップ作成のための下見にも積極的に参加しました。その全てはやはり「参加者の笑顔がみたい」「参加者のアウトドア遊びをもっと広げたい」という願いのため。会場にいる人たち全員が、自分と異なる属性の人や遊びと出会い、アウトドアアクティビティをより自由に深掘りしていくきっかけになるイベントを作る。そんな思いで、周囲の支えを助けにイベントを作り上げました。
結果、イベント会場での会話や後日行ったアンケートの中で、「結構難しくて楽しかった!」「地図読めるようになったかも!」「来年もまた来たいな〜」というような声を聞くことができ、内心の盛大なガッツポーズが止まりませんでした。
これからも、「人や遊び、学びと出会うことでアウトドアアクティビティをもっと楽しめるようになるイベント」を目指していきたいと思っています。読者の皆さん、来年の会場でお会いしましょう!
