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若岡拓也の日本列島大縦走
若岡拓也の日本列島大縦走 番外編
RUSHランナーの若岡拓也さんが挑戦中の「日本列島大縦走プロジェクト」。北海道・羅臼岳からスタートして約1か月が経過しました。
今回のプロジェクトでパーゴワークスとして何ができるか、若岡さんとは事前に何度も相談してきました。若岡さん自身は凄いことをやっているという自覚はあまりなくて、やりたいこと楽しいことをやっている感覚なんですが、こんな壮大で素敵なチャレンジをもっと沢山の人に知ってもらいたい。そのためにはどうしたらいいかを話し合った結果、パーゴワークスのHP内に彼の特設ページを開設して紹介することになりました。スタートから欠かさず若岡さんから日ごとのレポートを送ってもらい、毎週更新しています。
ページ閲覧数は日に日に伸びていて、彼の活動を知る機会が広がっていると感じています。若岡さんはこれから日光、信越トレイルを抜けて9月には八ヶ岳・南・中央・北アルプスに進んでいく予定です。
そして全行程の3分の1となる1,500kmを進んだ若岡さんと並走するために、パーゴワークススタッフの“すけ”とパーゴWebマガジン編集長の小林が山形まで会いに行ってきました。
山形は猛暑
「暑っ!!」山形駅を降りた瞬間2人口揃えて出た言葉。この日山形の最高気温は35度。地元の方から聞いた話だと山形は盆地で暑いらしい。東京から約2時間45分、東北エリアだしお盆も明けて涼しいと思いこんでた2人は早速山形の洗礼を受けたのである。
IBUKIをチェックし合流ポイントへ
駅前でレンタカーを借りて撮影機材・荷物を詰め込み出発。若岡さんとの事前確認で、山形市西部の「白鷹丘陵トレイル」という、1市2町にまたがる約31kmの周回トレイルの一部を通過することが分かっていた。僕達は若岡さんの現在地を確認しつつ合流ポイントの白鷹山を目指した。
白鷹山に複数ある登山口の中から、嶽原口を使って登ることに。山の中に入ると空気がひんやりとしてやっと涼しさを感じた。「若岡さんが通るって聞いてなかったら、きっと来る機会がなかった場所だよね」と小林編集長と話しながら約30分程で山頂に到着。風も抜けて山形市内も一望できる。
しばし彼の到着を撮影準備をしながら待つことにした。白鷹山の由来が書かれた看板をふむふむ言いながら読む。昔からこういう看板は読まないと気が済まない。しかし、アブとブヨと蚊が凄い。何度も何度も払ってもあつまってくる。虫よけスプレーを持ってきて本当に良かった(結局2か所刺されたけど)。
白鷹山山頂で合流!
待つこと小一時間。いてもたってもいられなくなり若岡さんが登ってくる登山道を少しだけ下って彼を待つこと数分、淡々と一定のペースで登ってくる姿を見た時本当に若岡さんに会いにきたんだなと実感した。予定よりも少し遅れたのは、途中応援に来た知り合いと話し込んでいたためだった。
あと、僕たちの進んできた登山道はさほど急登ではなかったが、若岡さんが通ってきたルートは細かいアップダウンが多かったらしく、「教えてくれた人がそんなにしんどいルートじゃないよって聞いてたのにむちゃくちゃキツかったですよ。里山のほうがやっぱりきつい。あととにかくアブとブヨが終始まとわりついていて本当にストレスです。」と息を切らせて言いながら無邪気な笑顔を見せた。
日本大縦走が始まってから、日々彼のSNS投稿をチェックしているうちに感じていたが、出発前にオフィスに立ち寄ってくれた時の姿と一番違ったのは肌の色と見た目。1か月以上も走り続けた彼の肌は、黒くこんがりと仕上がっていた。そして全体的により精悍な顔立ち(シャープ)になっていて、元々細い足もそぎ落とされた姿で走ること・進み続けることに特化した身体に仕上がっていた。最初の2週間で体重が4〜5kg落ち、下げ止まったもののそこからいくら食べても増えないらしい。
差し入れで持参した半分凍ったスポーツドリンクを全力で振って溶かしながら一気に飲み干した後、北海道から東北山形までの1500kmを走り終えたここまでの旅を振り返ってもらった。
「総距離5,000kmのようやく3分の1。前回のチャレンジの時は折り返しの距離だったけど、今回はまだ3分の2残っています。毎日走ることが日常になって曜日感覚も完全に無くなってました。道中宿が取れない理由がお盆時期だったんだと後で気づいたり(笑)。北海道では景観の素晴らしさに感動する一方で、お店もなく自動販売機も全然見つからなくて(60㎞先!)、水の確保に頭を悩ませながら走り続けてやっと水場を見つけた時、そのありがたさが文字通り身に沁みました。北海道・東北エリアは予想以上に暑くて、実は秋田で熱中症にかかって動けなくなったことがありました。たまたま用があって近くの郵便局に寄ったら、中で休ませてもらったうえに差し入れもいただいて……。見ず知らずの人間に優しくしてくれる行動に心打たれました。
ルートを決めて走り始めたものの、体調や天候に左右されながら日々ルートを変更せざるをえなかったり、想像していた以上に考なくちゃいけないことが多すぎて疲れてしまったこともありました。それでも森林限界や地形の変化、日本が火山大国であることを実感しながら走ることができるのがこのプロジェクトの醍醐味だったなと、ここ数日であらためて実感できた気がします。 9月以降に向かうアルプスを越えれば自分の知ってる山域も多くなるのでもっと走りやすくなるんじゃないかと思ってるんですけどね。」
話を聞いていて印象的だったのは、若岡さんがこのプロジェクトを本当に心から楽しんでいることだ。
「楽しくなければこんな長くてつらくてしんどいことしないです。」
富神山登山口で仲間と待つ
インタビューを終えて一緒に嶽原口まで下り、そこから先のポイント、富神山登山口へ先回り。すると駐車場に若岡さんを待つ2人組が先着していた。スポーティで爽やかな格好だったので「若岡さんの応援ですか?」とご挨拶するとやはりそう。ヤマカワさんとヨコヤマさん。今日の白鷹丘陵トレイルを教えてくれたのがヤマカワさんで、ヨコヤマさんは東北エリアでのレース運営もされているトレイルランナー。自分と共通の知り合いが複数名いてビックリした。世間は狭い。
ほどなくして若岡さんが到着。差し入れを受け取りながらヨコヤマさん達と今日のトレイルや地元の大会についてしばらく話した後、富神山に入っていった。
富神山から下りてきた若岡さんを確認すると、雷が響き始め今にも振りそうな雰囲気に。この時点で19時過ぎ。今日のゴール地点山形駅までは残り約9km。20時に知人の方と夕飯の約束をしていると少し焦りながら話す若岡さん。ペースを上げて駅方面へ駆け抜けていった直後、すぐに雨が降り始めた。
束の間の街の夜
土砂降りの山形駅前のロータリーで彼を迎え、この日の行程約53kmが終了。日によっては70kmを超える時もある。改めて若岡さんは毎日とんでもないことをしていると思った。若岡さんの知人であるミサワさんと合流し駅前の飲食店へ。
ミサワさんとは10年来のお付き合いらしく、2人の話が弾む席に僕達も混ぜてもらった。郷土料理の芋煮を食べた後、締めがカレーうどんなのに驚き。どの料理も本当にすごく美味しかった。地のものをいただくことができるのもこの大縦走の醍醐味と言っていた若岡さんの気持ちもわかる。おなか一杯で昭和の雰囲気残るビジネスホテルで就寝。
山形のアイコン、蔵王へ
朝6:30に起床。午前中は晴れ予報通り暑くなりそう。今日は山形駅前から龍山登山口までロードラン。そのあとは龍山〜ドッコ沼〜パラダイスゲレンデ〜ザンゲ坂〜地蔵岳〜熊野岳〜刈田岳〜七ヶ宿までの蔵王エリアを南下するルート。僕たちは途中の刈田岳まで同行するスケジュール。昨日の打合せ通りに自分はスタートから若岡さんと並走。小林編集長は昨晩ご一緒したミサワさんの案内で撮影ポイントに車で先回りして撮影。
出発前、彼に頼まれていたサングラスを差し入れ。聞けば函館付近で紛失してしまったらしい。手渡したサングラスはエメラルドブルーのフレームカラー。受け取った瞬間から動揺を隠せない若岡さん。お店の人と相談した時、「地肌が黒く日焼けしているし、だいぶ顔つきも精悍になってるからベーシックな色よりも明るいビタミンカラーのほうが絶対に良い」とイチオシを選んでくれた。なるほど黒い肌によく映える。
「もっと落ち着いたカラーが良かったのに…すけさんのセレクトセンス信じてたのに…」とぶつぶつ言いながらも出発。
龍山を並走する
龍山登山口までは緩やかな登り基調のロード区間。1キロあたり6分〜7分のペースで進む。
2人で走るのは昨年末にパーゴワークスのみんなと若岡さん達RUSHランナーと一緒に参加したタイの大会以来。
お互いの近況やSNSで話題になってたことなどを話しながら進んでいき、先回りしていた小林編集長達と一緒に龍山の登山口まで4人で進む。
龍山までの山頂はけっこう険しく、若岡さんがひょいひょい進むなか先に僕が遅れ始める。登る時の足さばきが軽やかだったなぁ。山頂に到着する頃には「このサングラスの色にも慣れてきました。」と気に入ってくれた模様。
サプライズの助っ人登場
蔵王スカイケーブル中央高原駅でアウトドアショップ・WILD-1のタケダさんが合流。今回のプロジェクトは、有志で並走する人、差し入れする人がいる。武田さんも若岡さんの以前からのお知り合い。蔵王山域に詳しく、タケダさんもまた東北エリアのイベントやレース運営にも関わっている方だ。合流後すぐにあったドッコ沼では観光客に記念写真を撮ってあげる若岡さん。優しい。
とそこで終わらないのが彼。ちゃっかり僕達3人の記念写真も撮ってもらった。
パラダイスからザンゲ坂
この日一番急登だったザンゲ坂。9月に行われる蔵王スカイランのコースにもなっているこの坂。冬の樹氷が頭を垂れて懺悔している姿からついた名前らしいが、「普段の練習足りてなくてすいませんでしたっ」と懺悔しながら自分は登っていた。途中何度も待ってくれたお二人には本当に申し訳なかった。登りは得意のつもりでいたが、日頃から鍛えている人には足元にも及ばない。帰ったら練習量を増やそう。
ひいひい登った地蔵山山頂で休憩中、たまたま北陸から縦走中だった若岡さんの知り合いと偶然出会いしばし歓談。若岡さんを通じて本当に色んな人が繋がっていく。
御釜へ(熊野岳〜苅田岳)
小林編集長とミサワさんが待つ熊野岳へ向かう途中、ものすごいスピードで熊野岳を降りてくる若い男性が1名見えた。「下りの速い人が向かってくるね」と話していたら、「若岡さんですか、GPSを見て追いかけてきました。ぜひ同行させてください!!」と礼儀正しい好青年ミシナさんが登場。聞けば東北出身で現在は熊本在住。Podcastで若岡さんのことを知って帰省のタイミングで会いに来たという。
馬の背で撮影班と合流
小林編集長とミサワさんと熊野岳山頂で合流。僕たちが到着する1時間前くらいから待機してくれていた。
急に天候が怪しくなってきたと思ったら雨が振り始めてしまい、避難小屋でしばし待機。
小林編集長達が運んできた水と補給食を美味しそうに食べる若岡さん。彼は本当によく食べていた。ミシナさんから若岡さんへの差し入れの柚餅子を見て大喜び。20分程で雨雲が切れはじめ、若岡さんを先頭に全員で御釜に向かう。
御釜を走る!
眼下に広がる御釜の絶景に若岡さんのテンションは最高潮に。
つられて僕たちのテンションも上がる。昨日富神山でお会いしたヤマカワさんも御釜まで差し入れを持ってきてくれた。若岡さんがきっかけで集まったメンバーが6名(ランナー3名、カメラマン1名、サポート2名)、まるでロールプレイングゲームで若岡さんを筆頭に集まったパーティのようだった。
若岡拓也の旅はつづく
刈田岳に到着し、軽食を取ったあと若岡さん以外のメンバーはここで解散。若岡さんは少しだけ寂しそうな表情を見せたあと、「行ってきます」といつもの笑顔で七ヶ宿方面へ颯爽と向かった。短い時間ではあったけれど、とても濃密な時間だった。
取材を終えて
パーゴワークスは「アウトドア自由主義」がコンセプト。
若岡さんとの付き合いは長く、コロナ前から国内外のステージレースやトレイルランの大会で活躍しているときから応援しています。彼のトレランだけでなく、登山もキャンプもクロスオーバーしたスタイルで山を楽しむ姿は、まさに僕たちのコンセプトを体現してくれているRUSHランナーの一人です。
今回の取材で改めて感じたのは、若岡さんの周りには優しい人が広がっているということ。初対面でも話しやすく周囲とすぐに溶け込む雰囲気と物腰の柔らかさで、とても愛されているんだなと感じました。ぜひ、若岡さんと並走・差し入れ応援いただけると嬉しいです。ちなみに旅で一番美味しかったのは水。サラダや果物乳製品など新鮮なものから補給食までなんでも嬉しいし食べますと話していました。
僕達もまた機会を作って彼が走っている場所へ応援に行こうと思います。
今回の応援を終えて自宅の鏡を見たら、腕が若岡さんの肌と同じ色になっていた。山形やっぱり暑かったな。引き続き、若岡さんの応援を宜しくお願いします!!ゴールまであと約3,500km!長っ。