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TRAILPOT × 男だらけの山メシ対決
パーゴワークスが満を持して世に放ったクッカー「TRAILPOT(トレイルポット) S1200P」。スクエアタイプで、鍋とフライパン、中蓋で構成されるユニークなモデルは、発売以来「こんなクッカーが欲しかった!」と、ハイカーやキャンパーをはじめ、アウトドアフリークから好評をいただいてきました。
SNS上からも、たくさんのユーザーがトレイルポットを自由に使い、独創的な料理を楽しんでいる光景が伝わってきていました。そんな様子に触発され、「パーゴワークスとしても、トレイルポットの可能性をもっと提案していきたい」という思いがムクムクと。「しかしパーゴのなかに料理が得意なスタッフなんていないぞ?!」ということで、旧知の仲である3人のアウトドア料理エキスパートに声をかけたのでした。
オーダーは、「最高の山メシを作ってほしい」。
そんな無茶振りを快く受けてくれたのは、水道橋「BASE CAMP」を営むA-sukeさん(中)、歌舞伎町「outdoorsman bar ROVERS」の大木ハカセさん(右)、そして北千住の「Out Door Dining CLIMB」野堀祥仁さん(左)。
いずれも個性的なお店を手掛けながらも、大のアウトドア好き。トレイルポットを使いこなし、どのような山メシを作るのか、企画段階から期待が高まるのでした。
せっかくなら、「ちょっとルールを設けた方がおもしろそうだよね」ということで、「ワンバーナーで調理すること」「意外性、ユニーク性があること」「煮る(もしくは炊く)、焼く、の工程を入れること」そして「食材はW-FACE STUFFBAG3に入る分だけ」という制限つきでの開催となりました。
「クッカーひとつでふるまうフルコース」|BASE CAMP・A-sukeさん
水道橋でアウトドアカフェ・バー「BASE CAMP」を営むA-sukeさん。文字通りのアウトドア好きで、フライフィッシングやハンティングにも造詣が深く、春は山菜、秋にはきのこ狩りに出かけるなど食の面でも自然と向き合う料理人です。
パッキングはこちら。食材は左の「W-FACE」に、トレイルポットと調理器具、調味料は防水タイプのバッグに収納。
トレイルポットの中身はこんな感じに。「ちょっとはみ出しちゃうんだよね」というナイフとピーラー、小分けの調味料がぴったりと収まっています。
3品作るというA-sukeさん。野菜や肉など、豊富な食材と多彩な調味料が揃います。メニューは「サラダ」「パスタ」「煮込み」を予定。3品だけあり種類はたくさん。
#1 いろどり鮮やかな「キャロットラペサラダ」
まずは、トレイルポットをボウルがわりにしてピーラーでニンジンをスライスしていきます。
A-sukeさん「今回は、結構生野菜を持ってきたんですよね。1泊くらいの山行であれば、野菜も肉も持っていける。3品も作る人はそんなにいないと思うけど、贅沢なフルコースを山で、というのも面白いんじゃないかと思って(笑)」
オレンジは皮を剥いてから薄皮に沿ってナイフを入れると果肉部分だけ取り出すことができるのだそう。これにはパーゴスタッフ一同メガウロコ。
A-sukeさん「バーでフルーツを使うカクテルを作るときに使う手法なのですが、この方法だとスムーズだし、手が汚れなくていいですよ」
A-sukeさん「クミンと胡椒とワインビネガー、オリーブオイルで味付けすれば、ドレッシングを兼ねたキャロットラペに。コンビニのカットサラダにキャロットラペを添えて、ナッツを砕いてまぶして、一品目の完成です」
あっという間に一品目の出来上がり。山でもキャンプでも、フレッシュなサラダとフルーツはうれしいもの。「オレンジの甘いのが好きでなければ、グレープフルーツでも」とA-sukeさん。
#2 ごろごろ肉と野菜の「ローマ風カチャトラ」
つづいて作るのは「煮込み料理」。カットした鶏肉を袋のなかに入れ、塩・コショウ、小麦粉を入れて揉み込みます。
A-sukeさん「見栄えのよさを意識して、鶏肉はちょっと大きめにカット。下処理で筋を取ってあげると口触りがよくなります。サラダチキンでも代用できますが、やっぱり生肉の方がおいしい。時間と手間はかかるけどね」
水で戻した乾燥ニンニクと油を火で温め、鶏肉に焼き色をつけていきます。
A-sukeさん「両面に焼き色を。焦がすことで鶏の旨みを出していきます。真ん中が火力が強いので、焼き具合を見ながら位置を変えてあげます。粉をまぶしてあると、焼いたときにいい色になるし、煮込むときのとろみにもなります」
両面に焼き色が付いたら、火から下ろして、カットしたじゃがいもと玉ねぎ、ニンジンを入れます。ローズマリーを香り付けに、白ワインビネガーと白ワインで煮込んでいきます。
A-sukeさん「野菜から水が出てくるので、塩で味を整えてオリーブを入れて煮込みます。プチトマトを入れると味に深みがでるのでオススメ」
ある程度火が通ったら、保温できるケースに入れて放置。味が染み込むのを待つ間、パスタを作っていきます。パスタができたらもう一度温め直して完成です。
#3 具だくさんが嬉しい「暗殺者のパスタ」
A-sukeさん「つづいてパスタ。ちょっと前に流行った暗殺者のパスタをやります。ソースは、ニンニクとオリーブオイル、トマトペースト。ケチャップとトマトジュースでもOKです」
作り方は至ってシンプル。オリーブオイルでニンニクの香りを引き出したら、トマトペーストを1袋。水を少し入れて、半分に折ったパスタ麺を投入します。
A-sukeさん「この作り方って、茹でるよりも時間がかかるのですが、少し焦げることで香ばしい味わいになる。トマトソースそのものを軽く焦がすような感じで、煮るというか炒めるというか。少しずつパスタが水分を吸っていくので、水を足しながら煮込んでいきます」
ポイントは、「匂いで判断する」こと。焦げてきたらひっくり返して、水を足して、煮込むのだそう。ベーコンとオリーブを加えて、完成までもう少し。
A-sukeさん「ケチャップは砂糖が入っているから香ばしくなる。焦がしすぎないのがポイント。普通に茹でて調理するのに比べて、倍くらい時間がかかるのが難点だけど。これならではのおいしさはある。焚き火だったらいいよね」。
そして3品目の「暗殺者のパスタ」が完成。
A-sukeさん「パセリはドライもあるけれど、生の方が風味がいい。ベーコンから塩味が出てくるので、塩はちょっとで。パスタを細くすると調理時間が少し早くなるかもね」
絶対おいしいでしょ! みんなで食べてみよう!
A-sukeさん「ちょっと映えるコースにしてみました。キャロットラペのサラダと、具だくさんの暗殺者のパスタ、ローマ風のカチャトラです。カチャトラは、もともと猟師の食べ物が由来。ビネガーと白ワインで煮込むので、酸味が効いた山で食べたくなる味です。パスタはちょっと焦げた味がワイルド。いわゆるトマトソースのパスタとはちょっと違う味わいになっていると思います」
パーゴワークス・齋藤「1人目からすごいフルコースでおののいています(笑)。トレイルポットを開発した者として、こんな料理を作ってもらえるなんてデザイナー冥利に尽きる。料理はどれも、A-sukeさんのお店が思い浮かぶ味。いわゆる山メシ、キャンプメシとはやっぱり違って、上品というか、料理人が作った仕上がり。でありながら、本人がアウトドア好きだということも反映されていて、本当に自然のなかでこれを食べられるのは幸せだよね。トレイルポットひとつで、こんなにたくさん作れるのは、やっぱりすごい!」
パーゴワークス・片岡「最初、材料を見たときにほぼカレーじゃんって思ったんですが、こんなフルコースになるなんて。だって、タマネギ、ジャガイモ、ニンジンなんてカレーの食材じゃないですか! A-sukeさんすごいなーw」
パーゴワークス・齋藤「汁うまー」
レシピと作り方|A-sukeさんのフルコース
材料
《キャロットラペ:1人前》
- にんじん … 1/2本
- オレンジ … 1個
- ミックスサラダ … 1パック
- ナッツ … 少々
- 塩 … 少々
- コショウ … 少々
- クミン … 小さじ1程度
- ワインビネガー … 大さじ1程度
- オリーブオイル … 大さじ1程度
《ローマ風カチャトラ:1人前》
- 鶏モモ肉 … 1枚
- ジャガイモ … 1/2個
- ニンジン … 1/2個
- タマネギ … 1/2個
- ミニトマト … 4つ
- ブラックオリーブ… 1/2個パック
- ローズマリー … 2本
- 乾燥ニンニク … 4枚程度
- 白ワイン … 100ml
- 白ワインビネガー … 大さじ2程度
- 小麦粉 … 少々
- 塩 … 少々
- コショウ … 少々
《暗殺者のパスタ:1人前》
- パスタ(半分に折ったもの) … 70g程度
- ベーコン … 1パック(適量)
- 乾燥ニンニク … 8枚程度
- 唐辛子(ピザについてくるやつ) … 2パック
- ブラックオリーブ … 1/2個パック
- カゴメトマトペースト … 2パック
- カゴメトマトケチャップ … 2パック
- カゴ完熟あらごしトマト … ※用意したけど使用せず
- オリーブオイル … 適量
- 塩 … 少々
- コショウ … 少々
- 粉チーズ… 少々
- パセリ … 少々
作り方
《 キャロットラペ 》
- トレイルポットにピーラーでにんじんを薄くスライスして塩をしてしばらく置き、その後手で握って水けを絞る
- クミン、白ワインビネガー、オリーブオイル、コショウを入れてその上にオレンジを身だけ落としていく
- フタを皿にしてサラダを盛りつけ、2のラペを盛る。最後にナッツを振りかければ完成
《 ローマ風カチャトラ 》
- ビニール袋の中にひと口大にカットした鶏肉と塩、コショウをして揉み込み、そのあと小麦粉を入れて揉む
- トレイルポットに水で戻した乾燥ニンニクとオリーブオイルを入れて香りが出るまで弱火で加熱。1の鶏肉を入れて中火程度にして焼き色を付ける
- 2を一度火からおろしてカットしたニンジン、ジャガイモ、タマネギ、ブラックオリーブ、ローズマリーそして白ワインと白ワインビネガーを入れてかき混ぜながら中火で加熱。沸騰したら弱火にして10分程度煮込み、20分ほど保温して放置。放置後に再加熱しながら味をみて塩コショウで整えたら完成
《 暗殺者のパスタ 》
- フライパンに水で戻した乾燥ニンニクと唐辛子とオリーブオイルを入れて弱火で加熱して香りを出す。トマトペーストとケチャップを入れて水(分量外)を50㏄程度入れてかき混ぜる
- パスタを入れて平たく並べてじっと置いて軽く焦がすように「焼いて」いく。香ばしい匂いがしたらひっくり返して水分が少なくなったらまた50㏄程度を足して「焼いて」「煮て」を繰り返してパスタに水を吸わせていく
- パスタが十分に柔らかくなってきた頃合いでベーコンとオリーブを加えてかき混ぜて味をみて塩コショウで整えて刻んだパセリを振って完成
「ブラジルと四畳半。20代の記憶を再現」|outdoorsman bar ROVERS・大木ハカセさん
「夜な夜な冒険家たちが集う新宿の隠れ家ウイスキーBAR」を掲げるROVERSのオーナー・大木ハカセさん。ROVERとは放浪者という意味で、世界中を旅してきた大木さんそのもの。バーだけでなく、冒険家や探検家の遠征のサポートを手掛けたり、小中学生の野外体験を行ったりと、活動は多岐にわたります。
そんな大木さんが作るのは「20代の頃に旅したブラジルの味」と「若かりし頃のアウトドア飯」なのだとか。
パッキングはこちら。メッシュの先に見える見慣れない缶詰が気になります。
トレイルポットには、ガス管やバーナー、カトラリーをセット。「擦れてトレイルポットの加工が剥げないように」と、ペーパーや緩衝材を入れる女子力の高さが伺えます。
食材もシンプルでありながら、統一感が保たれたパッキングが、アウトドアマンの裏に隠された女子力を放ちます。
#1 ブラジル旅で教わった「フェジョアーダ」
大木さんが1品目に作るのは、ブラジルの郷土料理「フェジョアーダ」。黒豆をベースに、豚肉や牛肉を煮込んだ料理で、ブラジルをはじめ、南米やポルトガルの植民地だった地域で親しまれている料理です。
大木さん「20歳くらいの頃、ブラジルを旅しているときに食べてた料理でさ。友達にもブラジル人がいて、作り方を教えてもらったんだよね。家庭によって作り方は違うんだけど、そのぶん何を具に入れてもいいし、オリジナルの味を楽しめる」
肉は「リンクス」という加工肉を使用。ジップロックの中でカットすることで、衛生面に配慮。その肉をトレイルポットで軽く炒めます。
大木さん「ぶっちゃけ、炒めなくてもいいんです。せっかくなので雰囲気でるかなって(笑)」
大木さん「豆はブラックビーンズ。カルディとか、輸入食品を扱っているお店で買えます。これを加工肉と一緒に煮込むだけ。この料理は、よし!と思った時が完成。何時間煮込んでもいい。煮込むと、加工肉の味がどんどん広がっていくし、豆も柔らかくなってくる。カレーと一緒。好みのタイミングで完成にすればいい」
仕上げに、クレイジーソルトと「魔法の粉」を。加工肉から味がでてくるので、味付けはちょっとだけでOK。
大木さん「この魔法の粉がポイント。基本はチキンブイヨンなんだけど、オニオンとニンニクが入ってる。全然人工的じゃなくて、優しい味。料理がグッとおいしくなる、お気に入りの調味料です」
#2 野心に溢れていた若き頃の味「クスクス」
2品目は「クスクス」。クスクスとはモロッコ発祥の料理で、世界最小のパスタとも言われています。パスタと同じくデュラム小麦粉を原料とし、北アフリカからヨーロッパに渡り、世界各地で親しまれています。
大木さん「オリーブオイルと水、クレイジーソルトを温めて、クスクスを投入。水の量はいつもなんとなくで、炊きながら足したりして調整しています」
大木さん「若い頃、一人暮らししているときに毎日食べていたんだよね。米を炊くよりも早くできるし、おいしいし、お腹いっぱいになるし。気分でいろんな具を入れて作っていて、チャーハンみたいな感じ」
クスクスに柔らかくなってきたら、ベーコンビッツとフライドオニオンを。ドライトマトも入れて、焦がさないように水を足しながら煮ていきます。
大木さん「だいたいトレイルポットのフライパンいっぱいくらいがちょうどいい。煮るというか、焼くというか。焦がさないように。ほんとうにすぐできちゃうから、キャンプや山には最適な食材だと思うよ」
味が気になって仕方がない! みんなで食べてみよう!
大木さん「もうね、俺の半生が詰まった料理(笑)。完成です!」
大木さん「フェジョアーダは豆好きにはたまらないんじゃないかな。料理としてはすごくシンプルなんだけど、黒豆と肉のコンビネーションが最高。モロヘイヤを細かく刻んだのを入れてもいい。独自にアレンジしてみるとおもしろい」
大木さん「クスクスは、ふつうは何も入れないんだけど、乾燥タマネギとニンニクで味付けするとバクバク食べられる。ホントにチャーハンみたいな感覚だったんだよね。すごく好きで、バーのまかないで出すことも」
パーゴワークス・齋藤「これは未知の味。食べるまでドキドキした。20歳のときにブラジルでって、いうだけで、食べながらいろんな想像が膨らみました(笑)。個人的には黒豆が好きなので、こういう食べ方ができるんだと学びになりました。トレイルポットの鍋とフライパンを両方活用しているのも高ポイント。フライパンで炒めることができると、料理の幅が広がるんですよね」
パーゴワークス・小田巻「クスクスは大好物なんですが、蒸らさないといけない、何も入れずソースなどと合わせて食べるものと思っていたので、山ごはんにはうまく活用できていませんでしたが、水や具を入れて炒めるだけでもいけるんですね。スプーンが止まりません(笑)。クスクスレシピは全部乾燥食材なので山ご飯向きですね。」
レシピと作り方|大木ハカセさんの旅の味
材料
《フェジョアーダ:3人前》
- ブラックビーンズ … 1缶(425g)
- 加工肉(モーニングサーブ) … 4本 ※ソーセージでも可
- 塩 … 少々
《クスクス:3人前》
- クスクス … 200ml
- フライドオニオン … 適量
- ベーコンビッツ … 適量
- ドライトマト(カット) … 適量
- 水 … 200ml
- オリーブオイル… 小さじ1
- 塩 … 少々
作り方
《フェジョアーダ》
- ブラックビーンズを鍋に入れて火にかける
- 加工肉を一口大にちぎって入れて煮込む
- 塩で味を整える
- 沸騰したら弱火にしてとろみが出てきて馴染んだら完成
《クスクス》
- フライパンに水200mlを入れて火にかける
- オリーブオイルと塩を水に入れ、沸騰したらクスクスを入れる
- フライドオニオン、ベーコンビッツ、ドライトマトを入れ、焦げ付かないようにかき回す
- ふっくらとしたら余計な水分が飛んでパラパラになるまで待って完成
「共通の食材で多彩な味を」|Out Door Dining CLIMB・野堀祥仁さん
3人目は、北千住「Out Door Dining CLIMB」の野堀さん。山小屋のようなダイニングには、アウトドアアイテムや本が並び、都会とは思えない空間を提供。男らしい料理を得意とし、お酒好きにもたまらない品が揃います。
そんな野堀さんが作るのは、「ホットサンド」と「トマトベースのスープ」。ポイントは「食材の数は少なくても、いろんな楽しみ方ができる料理」。
パッキングはこちら。トレイルポットのケースにはシエラカップをIN。ギリギリ収納できていることにしましょう!
トレイルポット本体の中にはバーナーとナイフなどの調理器具を収納。コンパクトに折りたためるレードルやフライ返しは100円ショップのものを活用。
「比較的手に入りやすい食材を集めました」というセレクト。「山に持っていきやすい缶詰とタマネギをメインに使います」とのこと。
#1 サバ缶とコンビーフ満足度MAXの「ホットサンド」
1品目はホットサンド。まずは具材となるタマネギをカット。1玉の半分ほどを2つのシエラカップに分けて入れます。
野堀さん「今回の山&キャンプ飯ですが、設定をどんなシチュエーションにしようか迷ったのですが、普段自分は登山が好きなので、地元の筑波山をなんとなくイメージして考えました(笑)」
サバ缶とコンビーフは、それぞれ半分をさらに2等分し、シエラカップに。
野堀さん「サンドの具はマヨネーズとコショウで味を整えます。今回は、ほとんど同じ食材で、複数のメニューを作れるのがポイントです」
シエラカップで具材をしっかりと混ぜたら、切り込みを入れたバゲットに挟み込んでいきます。さっとつくれるシンプルな調理方法なので、時間が限られる山ではうれしいポイント。
しかし、これで完成しないのが野堀流。トレイルポットのフライパン部分に並べ、加熱しホットサンド化していきます。
野堀さん「これはトレイルポットの新しい使い方じゃないかな。鍋に熱は伝わらないけれど、重さでサンドをプレスしながら焼き色をつけていきます。フランスパンは腹もちもいいし、バターでカリッと仕上がる。食パンだと食感が変わっちゃうんですよね。ちなみに食材は近所の100円ローソンで買いました。コストは一食あたり200円くらいなのでお財布にも優しいですよ」
#2 海の幸と山の恵みの邂逅「サバ缶とコンビーフのトマトスープ」
つづいては、同じくコンビーフとサバ缶を使ったスープに取り掛かります。
野堀さん「パックのトマトジュース1本、水は100mlくらいかな。サバ缶とコンビーフ、玉ねぎ、トマトジュースとコンソメだけ。胡椒はちょっと入れるくらい。ごった煮ですね(笑)。でも、ホットサンドと同じ食材なのにトマトが入ることで全く違う味になるんですよ」
野堀さん「玉ねぎに火が通ったら完成。煮込む時間が短くて済むので、ガスの使用量も少なくてOK。もちろんじっくり煮込んでもおいしいですよ。ホットサンド用にバゲットをカットして持ってきたのですが、スープにつけて食べる用に多めにあってもいいですね」
煮込みながら、ホットサンドも焼き、同時進行で調理を進める野堀さん。これこそ、パーゴワークスが想像しなかったトレイルポットの新しい使い方。
「コンビーフとサバ缶のホットサンド&スープ」が完成! 香ばしい香りが漂い、食欲をそそります。
もう待ちきれない! みんなで食べてみよう!
あらためて、野堀さんが作ってくれたのは、サバ缶とコンビーフのホットサンドと同じ具材を活用したトマトベースのスープ。食材の種類は少なくとも、多彩な味に作り上げる、まさにアイデア料理となりました。
パーゴワークス・齋藤「タマネギのシャキシャキとバゲットのカリカリの食感が最高。味付けはシンプルだけど、ひと手間加えることでサバ缶とコンビーフがグッとおいしくなる。それに山でフレッシュな野菜の食感を味わえるのは嬉しい。バゲットがボリュームあるから満足感もいっぱい。でも、食感が軽いからぺろっと食べれちゃうね。スープは、サバとコンビーフという意外な組み合わせが想像つかなかったんだけど、トマトがいい感じにつないでくれていて、これはアリ! たくさん山を歩いてきて、このスープを食べたら疲れがとれそう。食材がほとんど一緒なのに、こんなに作れるのはさすが料理人だなあ」
パーゴワークス・小田巻「バゲットをバターで焼き始めた瞬間に(私の)テンションがMAXに(笑)。サバ缶とトマトの組み合わせは定番だけれど、個人的に美味しい食べ方がいまいち掴めずにいました。が!このスープはすごく美味しい!コンビーフと粗みじんタマネギ効果なのか飽きずに食べられます。ここにバゲットを入れて食べたい! 大好物のクスクスも合いそうなので試してみたいです。リゾットもいいな……」
レシピと作り方|野堀祥仁さんのワイルド山メシ
材料
《キューバサンド》
- バゲット … 1/3の長さを2つ
- コンビーフ … 半分(A)
- マヨネーズ … 適量(A)
- 粒マスタード … 10g(A)
- 新タマネギ粗みじん切り … 1/6個(A)
- サバ缶 … 半分(B)
- マヨネーズ … 適量(B)
- ブラックペッペー … 少々(B)
- 新タマネギ粗みじん切り … 1/6個(B)
- バター … 少々
《鯖とコンビーフのトマトスープ》
- サバ缶 … 半分(C)
- コンビーフ … 半分(C)
- 新タマネギ粗みじん … 1/3個分(C)
- トマトジュース … 200ml(C)
- 水…100ml(D)
- ブラックペッペー…少々(D)
- コンソメキューブ…1個
作り方
《キューバサンド》
- 2つのシェラカップにAとBを別々に入れてそれぞれ混ぜ合わせる。
- 味が整ったらそれぞれバゲットに挟む。
- 浅底のトレイルポッドにバターを敷き各々のバゲットを焦げないように両面パリッと香ばしく焼き上げる。深底のトレイルポッドの底面で軽く押しながら焼くとホットサンドプレスのように全面しっかり焼ける。
《鯖とコンビーフのトマトスープ》
- キューバサンドで使わなかった残りの材料Cを深底のトレイルポッドに入れDで煮込む。
- コンソメとブラックペッパーで味を整える。
おいしい山メシの秘訣は「アイデアと工夫」
(ちょっと)クセのある3人が作る山メシ、キャンプメシをお届けしました。なかなか馴染みのないメニューが並びましたが、比較的手に入りやすい食材で作れるのがポイント。レシピも教えてもらったので、ぜひとも次の山行やキャンプでトライしてみてください。
最後に「TRAILPOT」のチェックもお忘れなく(パーゴワークスオンラインストアでは2023年9月上旬頃再販予定)。ソロはもちろんグループでの調理にも対応する大きめサイズに加え、「煮る」ための鍋と「焼く」をプラスできるフライパンも完備。「一度使ったら手放せない」という声も聞こえてくるほど、実用性の高いアイテムです。山メシのバリエーションを広げたい、仲間と山メシをもっと楽しみたいという方。ぜひとも手にしてみてください。きっと食の楽しみがグッと広がるはずです。