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男前キャンプ in 粟島
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テントなし!バーナーなし!インスタント食品なし!
9月某日、カフェ店主でありパーゴアンバサダーでもあるエースケさんが主宰している「男前キャンプ」なるもののお誘いを受けて、パーゴチーム(といっても私ケニーとボス齋藤のみ)も参加することに。
場所は新潟県の粟島、正式には「粟島浦村」(早口言葉みたいな名前だな)。1周の距離は約23kmで、山にはハイキングコースもあり、当然島なので釣りも海水浴もできて、バケーションシーズンは観光客でにぎわう、ようだ。
そうそう、この「男前キャンプ」なるものにはレギュレーションがある。
「テントなし!バーナーなし!インスタント食品なし!」
となると幕物はタープのみ? ライターはいいのか? 袋麺、アルファ米はなしか。さて何を食べようか……。しかも島でのアクティビティは何をしてもOKっていう、明確なミッションがないことにも大いに戸惑った。しばらく考えて、サイクリングで島を1周しながら、竿をザックにいれておいて釣りもしてみよう。もし魚が釣れたら宴会でのつまみにしようとぼんやり決めた。
そもそも「男前」ってなんなんだ……!?
【今回の旅のメンバー】
島に行くのもフェリーに乗るのも初めて!
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天気も良くてもうワクワクしかない。
地元にいるときに船外機ボートに乗ったことはあったが、フェリーに乗るのは初めて。デカい。めっちゃデカい。クルマも自転車も余裕で積載。バンバン跳ねる小型ボートとは違って全然揺れないし、水しぶきもかからない!
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座敷席に悠然と座って談笑し始める男前キャンプ常連組と、不安と期待が入り交じり、とりあえず正座で傍観する初参加組の山下(&ケニー)。ちなみに話の内容に男前な要素はひとつもない。
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ベタだけど気分はタイタニック、ではなくワンピース。
出航後、しばらくしてボスに誘われてデッキに出てみるとこの景色! 目の前は海のみ。もう気持ちは大海賊王。
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みんなでしばし海を眺める。
大興奮のあと、いったん落ち着こうと船尾のデッキに座ったら寝てしまった。
DAY1:解き放たれた俺(自制心を本土に忘れてきてしまった)
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起きたらあっという間に粟島が目の前に。ついに上陸!!
ここには電車もなければタクシーもない、あるのは2時間に1本のバスのみ。本土に帰るためのフェリーは1日に4本しかない。それを思うと、なんとも言えない開放感に満たされる。
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まずはランチと今後のミーティング。自転車チームと徒歩チームに分かれて、宴会の買い出しをしてキャンプ場に集合することに決定。しかしミーティングをしたものの、買って良いものと買ってはならないものがわからない。ルール違反で罰金を取られたりしないだろうか……。そんな不安を抱えつつ、地元民に聞いた酒屋と商店に向かう。
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年季を感じる看板。店内にあったお菓子のケース。商品当たりすぎでしょ…。
「酒屋かねひら」は、旅館の玄関口に隣接していて、夜になると島民たちが集まって角打ちをするそうな。なんともオープン。粟島の地酒からビール、ちょっとしたおつまみまで揃っている。
山下さん「サバ缶とかパスタって反則ですか?」
エースケさん「それぐらいいいよ!ペナルティのホイッスルとか鳴らさねーよ!笑」
え、いいんだ! 缶詰もパスタもOKならとりあえずご飯はなんとかなりそうだ。ただしひと工夫すること。おのおの好きなものを選び、買い出しも無事終了。
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イケメンと海。
いよいよキャンプ場へ移動開始。
粟島には真ん中を横断する峠道と、海沿いをぐるっと回る道がある。我々が選択した道は海沿いコース。男3人でかっこいい写真を撮れるロケーションを探しながらサイクリング。空と海が青すぎて、モデルの山下さんが5割増しでかっこいい。
気づいたら徐々に勾配が急になってくる。汗だくになりながらやっと登りきり、ついに下り坂へ突入。楽しすぎて、看板の真似をしているだけなのに爆笑してしまう。
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看板と俺。こんなので笑いが止まらなくなるくらい楽しい。
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こののぼりをスルーするスキルは持ち合わせていない。あわてて写真を撮るもほぼ飲み終わっていた。
坂を下りきると、港町に到着。
汗だくの3人、「生ビール」ののぼりにテンション爆上り。吸い込まれるようにかもめ食堂にイン。島旅の開放感によって、すでに自制心を失っている3人は入店するやいなや、生を注文。異論反論なし。
一同「かんぱーーい!」
ボス齋藤「粟島のアワは生ビールの泡なのね!」
店主のお母さんも交えて談笑したあと、店をあとにする。
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いろいろ満たされて満足げ。
ついにキャンプ地に到着。そもそも「男前」とはどういうことだ……?
え、そういう感じ……?
そしてついに今回の目的地、キャンプ場に到着。
すごく海が近い。こんなに波打ち際が近いキャンプ場はなかなかないだろう。街灯もないため、圧巻の星空が期待できる。ワクワクしすぎて思わず笑みがこぼれる。各自、寝床をこしらえてから海水浴や魚突きなどアクテビティを開始する。
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バス組のエースケさん、すのこさんと合流。
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最高のロケーションに笑みもこぼれますって。
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俺の基地作り。流木拾ったどー!
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いい流木が拾えるかどうかを心配していたエースケさん、無事ゲット!
男らしく現地調達したカニを餌にして、釣りを開始。ここまでみんなを撮影する側だったカメラマンの小林さんも、みんなのはしゃぎっぷりに感化され(いや、最初からそのつもりだったか⁉︎)、カメラを竿に持ち替えて参戦。アタリはあるものの結局釣れず。その横で、すのこさんはキジハタをしっかり釣っていた。さすがです!
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メンバーが釣りに興じるなか、モデルの山下さんは島をランニング。どこまでもさわやか。しかし胸中は「今日の夕ご飯どうしよう……」と不安でいっぱい。
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カメラマンがカメラ置いちゃいかんでしょ…。でもはしゃがずにはいられない気持ちもわかる。
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全然釣れない!
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カメラマンがカメラ置いて釣りに行っちゃったもんで、ボスが慌てて撮った夕暮れの写真。
戸惑う男
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日が落ちてきて、それぞれ食材や飲み物を持ち寄り、宴会の開始。
まだ「男前キャンプ」のルールに戸惑っており、箸すらもおそるおそる出す自分の目の前でエースケさんは堂々とクレイジークリークの座椅子に鎮座。なるほど、装備を限りなくミニマムにするのが「男前」だと思っていたが、どうやらそうではないらしい。その本質はのちに知ることになる……。
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エースケさん、快適そのもののそのアイテムは……。
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ちょっと男前キャンプっぽくなってきた!
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食事はトレイルポット1200と今夏に発売したトレイルポット900で調理。丈夫だし、長い持ち手のおかげで焚火でも安心して使用できる。900は1人用なので、少量のおつまみを作る時にもちょうどいい。
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びっくりしたメニューはすのこさんのナンカレー。カレーはトレイルポットで調理。ナンは無印良品のナンキットをコネコネして、焚火で熱した石で焼く。見事な石焼ナンをほおばっていた。
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自分はというと前日大量に買い込んだ食材でアヒージョを振る舞った。そしてかねひらで購入した地酒の「粟島」。そのあとは、男だらけで満天の星空を眺めながら、星座についての知識を語りあった。持ちこんだすべての酒がなくなったタイミングでこの日はお開き。
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DAY2:良くだらけ、欲だらけ
波の音で目が覚めた。みんな起きているのか様子を見てみる。
海岸は昨日と変わりはないが、なにかがおかしい。昨日の宴会まではみんなタープしか張っていなかったはずなのに、しっかりメッシュ(蚊帳)があるではないか!
「男は黙ってタープたれ!!」ではなかったのか……。
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モスキート対策バッチリのボスのサイト。でも目覚めたらまぶたの上にフナムシがいたそうな。
ひとまず朝食を食べる。男らしく、潰してパッキングしてきたパンとウインナーを焼いて食べた。
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いちおう説明しておくと、左側の物体は“あえて”つぶして持っていったパンです。
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エースケさんの手際の良さよ!
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注)朝食です。
すのこさんは夜釣りに出かけていたらしく、釣れた魚をエースケさんが調理。刺身とキジハタの煮付けが絶品だった。朝からお刺身とはぜいたく!
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味がどうだったかは、この顔でわかっていただけるかと思います。最高です。
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エースケさんはさらに。こんなおしゃれご飯も作っていました。
ここでみんなのお宅訪問。
エースケさん:ニンジャタープとニンジャネストの組み合わせ。入口を横に設定するため、正面から室内が見えないため、プライバシーの確保ができる。
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すのこさん:ニンジャタープとニンジャネストの組み合わせ。正面にメッシュ面をセットして、オーシャンビュー。
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山下さん:低く張ったニンジャタープとグランドシート。虫対策で顔だけバグネット。
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ボス:ニンジャタープとバグネット。ポールを使い、屋根を高く設営。
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ケニー:ニンジャタープとタイベックシートにマットのみ。鹿角型の流木が我が家の目印。ライトを掛けることもできる。
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ここで気づいた。メッシュはアリなのだ。今回初参加の山下&相田ペアは、「男たるものタープのみ」だと思っていた。もちろん我々は蚊に刺されて全身ボコボコである。男前とは何なのか、さらに謎が深まってきた。
そうこうしているうちに雨が落ちてきて、雨がやむまでいったん全員自室(布切れの下)に戻ることに。本来、この日は各自考えてきたアクティビティを行う予定だったのだが、降り続く雨により断念。だけど波の音が心地よく、タープの下でひたすらゴロゴロしていた。
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せっかくきたのだから雨の中で観光に出かけるか、雨を受け入れて潔くダラダラとタープの下で過ごすのか。目の前の環境を受け入れ、焦らずに行動するのも「男前」なのかもしれない、と思った。
でも不思議なことに何もしなくても腹は減る。あっという間に昼になり、申し合わせてもいないのに、降り続く雨の中、全員がタープから這い出てくる。かもめ食堂でランチを食べて温泉に出かけることにした。飲んで食って寝て、風呂に入ってまた飲んで。まったく欲に忠実である。
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モデルがもっとも輝いていた瞬間
島で唯一の温泉「おと姫の湯」。雨で冷えた体を温めてくれた。ここには大浴場はもちろんのこと、大量の漫画と筋トレスペースがある。山下さんは筋トレマシンを見た瞬間に大興奮、キラキラの目で筋トレを開始。ほかのメンバーも漫画を読んだり、ビールを飲んだり思い思いの時間を過ごす。
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しょうがないよね、外は雨なんだもの。
タープ設計者のサイトが……
荒天だったのがうそのような島のようす。
買い出しを済ませてキャンプ場に戻った。この頃には雨もやみ、晴れ間が出てきていた。外出中の風雨でタープは無事だったのか、各自のタープを確認すると……。まさかの、ニンジャタープ設計者であるボスのタープがペチャンコに崩壊して水浸し。これには一同大爆笑。
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なぜかボスのサイトだけぺちゃんこに……。
2日目の夜。もうただただ楽しい。
ボスのタープを立て直し、今日もカンパーイ!
まずは焚き火から。念のためタープの下に保管していた乾燥した薪を使って焚き付ける。
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すのこさん持参の焼き串。100円ショップで見つけたものだそう。三つ股は珍しい。
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地酒は追加。トレイポットを仲良く並べてご飯作り。
DAY3:余韻を引きずりながら朝イチのフェリーに乗り込む
最終日も波の音で目覚める。朝イチのフェリーに乗るために、相田&山下の自転車ペアはひと足早く出発。朝は涼しくて気持ちよくサイクリングできた。全員フェリー乗り場で集合し島を後にした。
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そしてそれぞれのパッキングを見ていて、だんだんと「男前」がわかってきた。
食材は現地調達、最低限の調味料、できるだけミニマムな装備だと思っていたが、ちがう。すのこさんは「共にキャンプをする仲間の誰かが困ったときに使える物」を持っているしエースケさんは「満足に食事できるだけ調味料、楽しむためのギア」を持っている。山下さんは「スキンケア用品一式」をしっかり持ってきている。
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男前キャンプの真髄は、虫刺されや快眠を我慢する「限界キャンプ」ではなく、「ロマンや欲望を詰め込んだバックパック1つで、ルールや限られた時間のなかで最大限楽しむ」ことなのかもしれない。
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とはいえ何も知らずにタープのみで挑み、全身をモスキートにボコボコにされた。モデルの山下さんはモスキートのキッスをもらい唇を腫れさせた。この男前キャンプの勲章は一生忘れないだろう。
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NINJA TARP
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NINJA TARPは、イージーなセットアップが特徴のソロ用タープです。メインファブリックには、高強度の66ナイロンのリップストップを採用した30デニールの生地で、耐久性と軽量性に優れています。ミニマル装備のキャンプやツーリングに使えるよう、重量が400gで収納時のサイズは28X9cmに設計しました。21か所のジョイントポイントと前後2辺のテンションスリーブで、30通りの設営バリエーションを可能にしています。ユーザーの経験値やアイデア次第で、使い方を拡張できるユニークなタープです。