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パーゴのタイ滞在記
10年ぶりに降り立ったバンコクの街は、やっぱり蒸し暑くて、日差しが眩しくて、ちょっと臭くて、帰ってきたなという感じ。タイは大好きだったけど、知ってるタイじゃなくなってたらどうしようと心配したのが拍子抜け。明らかに経済発展はしてるけど、屋台では得体の知れない肉を焼いてるし、ちゃんと猛スピードでバイクも走ってて、なにより街が活気に溢れていた。
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前置きはさておき、今回の舞台は、タイの北部の都市チェンマイからさらに車で2時間、タイの最高峰ドイ・インタノン山 (2565m) を有する国立公園。12月初めこのドイ・インタノン国立公園で開催されたトレランレース『*Doi Inthanon Thailand by UTMB』に、パーゴワークスとしてブース出展した。実はパーゴワークスが海外のイベントに出展するのは、今回が初めて。タイでやりたいことは山ほどあったが、目的は3つに絞った。
1、EXPOブースでパーゴワークスの認知アップ。新RUSHシリーズの公開
2、RUSHランナー3名を応援する
3、タイのアウトドアショップを視察する
4、パーゴクルー全員がレースに出走する(あれ、すでに絞れてない。)
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Doi Inthanon Thailand by UTMB
UTMBワールドシリーズのアジアパシフィクメジャーの位置づけで、トップ10位までは自動的にUTMB(モンブラン)に出走できる他、他のシリーズ戦の2倍の「ランニングストーン」を獲得できるレースとあって、開催前から日本でも大きな話題を呼んでいた。(ランニングストーンは、世界中で30大会あるUTMBワールドシリーズで完走するともらえる指標。獲得することで、本戦のUTMBの出走権の抽選で有利になる。)
英語、タイ語、ベトナム語、中国語が飛び交う!? 3日間のEXPOブースは大盛況。
会場に到着して、タイ人のスタッフと挨拶後、すぐに展示を開始。準備をしてる間にもお客さんが次から次へと入ってきてしまう。EXPOは12時から開始だが、そんなのお構いなし。
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今回の目玉はなんと言っても、2023年4月にフルモデルチェンジするRUSHシリーズ。特にRUSH 11Rは、ウルトラトレイルレースのためにデザインしたRUSH UT3の進化版で、4月からは一般販売を予定している。UTMBシリーズのレースだけあって、ロングレースモデルへの関心の高い選手が多く来店。タイの選手だけでなく、シンガポール、マレーシア、ベトナム、香港、オマーン、中国などアジアの選手を中心に接客した。メジャーなトレランパックの多くが欧米でデザインされているため、「フィット感」はアジア共通の悩み。日本人が設計し、ランナーと共同開発していることを強調すると、すぐに目を輝かせて試着してくれた。何度も「今買えないの?」と聞かれて、心の中でガッツポーズ。接客の手応えを感じた。RUSHは世界で通じる!
海外のパーゴユーザーも来店。パーゴワークスのオンラインショップや、香港やタイの提携のアウトドアショップでパーゴ製品を買ってくれたお客さん、レースには出ないけどわざわざEXPOに来てくれる人まで!海外の流通量は少ないので、大事に使ってくれているのだろう。
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ブースに居た3日間で気づいたことは、アジアのトレラン人口が日本に比べて圧倒的に若いこと。5400名のレース参加者のうち41%が39歳以下という驚きな数字。ランニング文化が根付きはじめ、世界大会にこれだけ多くの若いランナーが参加するとは、アジアのトレランシーンが、これからも盛り上がりそうな気配がしてワクワクした。
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現地のタイ人スタッフと。3日間お客さんが途切れることなく大盛況のうちに幕を閉じた。
旅は道連れ世は情け
今回のタイ遠征には、パーゴクルーだけでなく、いつもお世話になっているRUSHランナーを3名アテンド。(下家悟選手、若岡拓也選手、山内菜摘選手)アテンドといっても、ホテルや移動手段の手配をした程度で、フルサポートには程遠いけど。選手のアテンドも初めてなので、常に手探り。パーゴトラベルによる即席レースツアーに参加して頂きありがとうございます!全員が無事にスタートラインに立てて本当に良かった。
下家悟選手(Summit 160)
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我らが日本からの刺客、下家選手は、なんと今回が初めての海外レース、そして初めての海外! 直前にパスポートを取得して参加。
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パートナーのユカさんは強力なサポーター。レースの情報収集から、体調管理まですべてをこなし影の立役者ぶりが際立った。途中暑さによる脱水や、夜間パートの落ち込みなどがあったが、結果は51位、32時間。初めての海外でカルチャーショックを受けながらも、ユカさんと一緒だからフィニッシュラインに帰ってこられた。ゴールシーンは涙であまり見えなかった。
若岡拓也選手(Summit 160)
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こちらは海外慣れしている若岡選手。今回はやむを得ずDNFしたが、それでも100Kは走っていたし、次の日にはケロっと朝ランしていたし、バンコクでも常にどこかを走っていた。恐るべし。
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常にムードメーカー的存在で今回の旅でもチームパーゴを引っ張ってくれた。今回は新型RUSH 11Rのグレーシャーシルバーを着用。
山内菜摘選手(Pagoda 50)
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いつも元気いっぱい「なっちゃん」こと山内選手は、タイでも目標タイム通りフィニッシュ! ゴール直後は過呼吸になるほど最後まで追い込んだ。暑さと足攣り(初体験)に打ち勝って、女子10位でゴール!アウェー戦でも実力を見せつけた。
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ここで順位に関する疑問が発生。彼女がゴール時に配られたカテゴリー順位のカードは4位。ところがオンライントラッキングで確認すると、5位。「一体どっちなんだ!」とゴール地点のスタッフに尋ねると、自分は学生ボランティアでよく分からないと言う。チェンマイ大学の学生で日本語も話せるということで、彼を引き連れて30分程運営やリザルトチームをたらい回しに合い、結果同じカテゴリーの女子2人が総合順位で10位以内に入ったということで、繰り上がって年代別2位のトロフィーをゲット! ボラのサック君もありがとう!
タイで訪れるべきアウトドアショップ3選
チェンマイとバンコクで数カ所のアウトドアショップを見学した。その中でもおすすめのショップを紹介する。
まずはチェンマイのBasecamp Coffee Houseは外せない。チェンマイ中心から車で30分。カフェ併設のアウトドアショップで、センスの良いセレクトが魅力。ショップの裏にはすぐトレイルが広がり、4kmから100mileまで様々なコース取りをできるとのこと。シャワー室も完備なので、ちょっと走って、シャワーでさっぱりして、美味しいコーヒーを楽しむのがおすすめ。
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2, Banana Run
バンコクは交通量が多く排ガスもすごいので、ランナーには少し不便。でもルンピニー公園というランナーの聖地がある。日本でいうところの皇居ラン?的な場所で夜な夜なランナーが集まってくる。そのすぐ近くに小さなランニングショップを構えるのが、Banana Run。タイのランニングカルチャーを牽引する存在で、タイ的Run Boys! Run Girls! と言ったら分かりやすいだろうか。店長は商売より次のレースのことばかり考えてるランナーファーストのお店。
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3, TANK store
最後は、バンコクにいくつかあるTANK store. 今回はCentral Worldという巨大なショッピングモールにも入ってるお店を訪問。タイのA&F Countryといった立ち位置で、アメリカンカントリーな店構えに、バックパック、ウエア、シューズ、キャンプギアなどを取り揃えている。バンコクの今時なキャンパーが集まるお店で、実際ブースで会ったおしゃれなタイ人は皆んなTANK storeで買い物しているとのこと。
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おまけ。パーゴクルーもしっかり楽しみました!
今回のタイ渡航の目的は、初のトレランレース海外出展を成功させ、RUSHランナーにレースで活躍できるようにお手伝いすることだったが、ちゃっかりパーゴクルーも全員レースに出走した。3日間フルでブース接客して寝不足のレースはきつかったー!
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スケさんは、悲願の100K完走。関門30分前にゴールした。粘りがち!
他のクルーは、20Kのショートレースに出走。20Kは基本的に里山と山岳民族の村を繋いで走るコースで、ただただ楽しいトレランだった。
棚田が続くのどかな農道を走ったり、渡渉で渋滞したり。
ダートの林道を走ったり。
村の子供達が応援してくれたり。タイらしい田園風景と山岳民族の村をめぐる素晴らしいコースを満喫できる。
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ボスも無事に完走。
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ゴールにはみんなが待っててくれた!距離が長くても短くても、スピードが早くても遅くても、トレランは楽しむことが大事。
レースが終わったらお待ちかね。タイフードを堪能。もうお腹壊しても帰るだけだから、とことん食べまくろう!
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食べる。
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食べたり、飲んだり。
サソリを食べたり。
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食べまくる!
(私の)タイ渡航の裏テーマは食い倒れだったので、みんなを連れて屋台をはしごできたのは良い思い出。不思議なことに、タイフードを食べると満腹中枢が効かなくなる。途中にフルーツやココナッツジュースを挟んで、いくらでも食べられてしまう。恐ろしい食べ物だ。レースで失ったカロリーを摂取しようと、帰国寸前まで食べてたので身体が重い……(明らかにカロリーオーバー)
パーゴのタイ渡航記いかがだっただろうか。Thailand by UTMBに参加した日本人は100名以上。引き続きパシフィックメジャーの冠を持つことを考えると、来年も多くの日本人が訪れるだろう。比較的日本から近く、人も物価も優しいので、初めての海外レースに選んでも十分楽しめる内容だ。レース本番だけでなく前後で、タイフードを堪能したり、ローカルのランニングカルチャーに触れたり、レースの旅だからこそ体験できた内容だった。コロナにも終わりが見え、日本のランナーにはぜひ海外の舞台で挑戦してほしい。